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自動車の陰の功労者 ブレーキ

みなさんが普段何気なく乗っている自動車ですが、その自動車にとって重要な要素とは何でしょうか? 極論ですが、車の要素は、

走る・曲がる・止まる

の、3要素で表すことができるでしょう。

ブレンボのキャリパーブレーキ
ブレンボのキャリパーブレーキ

普通、車の性能を語るときに注目されるのは、エンジン出力などの“走る”という要素や、ハンドリング性能である“曲がる”といった要素が多いと思います。 しかし、今回は“止まる”という要素に目を向けたます。 自動車の“動”とは正反対であり、注目する方は少ないんじゃないでしょうか。 しかし、一度車が走行し始めて止まらないようなことがあっては大変です。 安全性の面からみると最重要の要素です。

というわけで、今回のテーマは「自動車の陰の主役・ブレーキ」です。

ブレーキの原理と種類

まずブレーキの基本原理についてです。なぜブレーキをかけると車が減速するのか? というと、その正体は“摩擦”です。

車はタイヤが回転することで、車は動きます。 そのタイヤの回転に対して、摩擦を働かせることによって減速するという簡単な原理です。 ブレーキの歴史をさかのぼると馬車にたどり着くといわれており、その構造は車輪に棒を押し当てるだけといった単純な機構でした。 しかし、動力が内燃機関に変わった現在では、さらに強い摩擦を発生させなければなりません。

では、現在のブレーキはどのようになっているのでしょうか? 自動車のメインブレーキは、ブレーキペダルを踏むことによってかかる一番制動力の大きいブレーキです。 これは、ブレーキフルードという液体の油圧によってブレーキパッド、ブレーキシューといった摩擦材を回転に対して摩擦になるように押し付けて減速するといった原理です。 この機構にも2種類の方式があります。

◆ドラムブレーキ

スプリンターカリブ リアドラムブレーキ
スプリンターカリブ リアドラムブレーキ

ドラムブレーキ内部
ドラムブレーキ内部

ドラムブレーキとは、タイヤホイールと一緒に回っているドラムという部品があります。 ドラムの外側はタイヤと一緒に回りますが、車軸側は回りません。 そのドラム内部の車軸側にはブレーキシューとブレーキピストンがあります。

油圧の力で動くブレーキピストンは、ブレーキシューを外側に押し付けてドラムの内側に押し当てる摩擦を発生させる構造となっています。 この方式の特徴は、自己倍力効果です。

これは回転するドラムに、摩擦材を押し付けることによってドラムに食い込む方向に力が働き、加えた力以上の摩擦力が得られるという点です。 長所的な見方をすれば強い制動力が発揮できることになりますが、短所的な見方をすればドライバーの想定したブレーキ以上の制動がかかってしまうという、コントロールの難しさがネックです。

また、ブレーキシューをドラム内部にもつという構造上、走行時に風を受けにくく、放熱性に難があります。 さらに、走行中に水が浸入すると制動力が落ちるといった難点もあり、一般にフロントブレーキには使われず、リアブレーキのみの採用が多いです。

◆ディスクブレーキ

右寄せの画像
スプリンターカリブ リアドラムブレーキ

ディスクブレーキは、主にローターとキャリパー、ブレーキパットから構成されます。 タイヤと一緒に回っている円盤状(ディスク状)の丸い金属を、ブレーキローターと言います。 キャリパーはブレーキパットと一対でセットされてブレーキローターを挟むように設置います。

そしてブレーキキャリパーへの油圧の力でブレーキパッドをブレーキローターの両側から挟み込みます。回転していたブレーキローターをブレーキパットで挟むことで、摩擦を発生させる構造となっています。

ブレーキローターを縦から見た図
ブレーキローターを縦から見た図

上記画像で、画面左中央に少し見える水色のものが、ブレーキパッドです。 そして、水色のブレーキパットを覆うようにしているのがキャリパーです。

この方式の優れている点は放熱性に優れているということです。 ドラムブレーキに対してディスクブレーキの場合は、ブレーキパッドやローターの接触面が露出しているため走行時の風によって放熱しやすい構造となっています。 制動力の変化が少ないディスクブレーキは、フロント/リアどちらのブレーキにも使われています。

少し話がそれますが、ブレーキに関して“放熱性”という単語が出てきましたので、ここでブレーキの温度について考えてみます。 ブレーキが熱を持ちすぎてしまうと、フェード現象、ベーパーロック現象といったことが起こります。

フェード現象とはブレーキパッドの摩擦材の耐熱温度を超えてガス化し、そのガスが潤滑剤のような働きをして摩擦が減ってしまい、制動力が落ちてしまう現象です。 ベーパーロック現象とは、フェード現象が発生したまま温度が上がってしまい、ブレーキフルードが沸騰してブレーキ配管内に気泡が発生し、圧力が正常に伝わらず制動力が落ちる現象です。 これらの現象を防ぐためにブレーキを冷やすことは重要になってくるわけです。

◆ブレーキパッドについて

温度に関連してもう一点、ブレーキパッドについてです。 ブレーキパッドの適正温度というのはご存知でしょうか? 一般的な乗用車の純正ブレーキパッドでは0~300℃程度が適正温度であり、それ以上でも以下でも性能通りの制動力を発揮できません。

これは、ブレーキパッド表面の摩材が溶けることによって指導力を発揮するためです。 温度が低すぎると摩材が溶けず、温度が高すぎると一部成分が熱によって固まってしまうため制動力が落ちます。 ストリート用であれば適正温度を下回るといったことはあまりないでしょう。 サーキット用の高性能なものの中には100℃~などといった、摩材が溶けだす温度が高いブレーキパッドも存在します。

このような製品は、車を動かし始めた直後などでは制動力が落ちているため適正温度内に上がるまでブレーキに熱を入れなければなりません。 高性能な設定温度の高いブレーキパッドを付けている車は、乗り始めでのブレーキは注意が必要です。

カプチーノのブレーキパット
カプチーノのブレーキパット

上記画像の左側は、純正に近いブレーキパッドで適正温度は、0~350℃です。 使用済み熱が入って、摩材が溶けているのが分かるでしょうか。 そして右側のブレーキパットは新品です。 使用の用途として、サーキット兼ストリート用タイプで適正温度は0~650℃となっています。

また、ブレーキパッドは消耗品ですので、交換時期というものが存在します。 新品の状態では10mm前後の厚さですが、3mmを切ると交換時期といわれています。 ブレーキパッドがなくなると、キーキーと音が鳴ったりします。 こうなるとブレーキが利かなくなります。

ブレーキパッドの確認法ですが、ジャッキアップしてタイヤを外し、ローターを縦から見るとその厚さが簡単に確認できます。 気づかないうちに意外と減っていたりします。

カプチーノのブレーキパット上…新品:約10m 下…使用済:約1㎜
カプチーノのブレーキパット
上…新品:約10m
下…使用済:約1㎜

次に補助ブレーキについてです。 補助ブレーキとは、フットブレーキ以外にも減速を生じるブレーキのことです。 ただし、この補助ブレーキはメインブレーキに比べて制動力が弱いのであくまで補助的に使うものです。

◆パーキングブレーキ

パーキングブレーキは、主に駐停車するときに使用するブレーキです。 座席の横についているものはサイドブレーキ、又はハンドブレーキなどとも呼ばれます。 それ以外のペダル式やボタン式などのものが最近は多いですね。

サイドブレーキ式や、ペダル式のほとんどは、ワイヤーを引っ張る力にてリアブレーキを作動させています。 ボタン式は、電気的にブレーキを作動させるケースが多いですね。 一般に、これらは駐停車時に車が動かないようにかけるブレーキです。

そのほか、後輪だけにブレーキがかかる仕組みを利用して、サイドターンやドリフトのきっかけ作りなど、競技で使用されるケースもあります。

カプチーノのサイドブレーキレバー
カプチーノのサイドブレーキレバー

◆エンジンブレーキ

走行中アクセルを離すとだんだん減速することをエンジンブレーキといい、エンジンの抵抗や空気抵抗などの摩擦により車が減速します。

エンジンの回転数を上げることで、より大きいエンジン抵抗を得ることができます。 長い下り坂などで速度を落としたいとき、MT車はシフトダウン、AT車はBレンジなどに入れることで大きいエンジンブレーキを得ることができるため、フットブレーキの負担を減らしてやることができます。

ブレーキロックとABS

これまでブレーキについて書いてきましたが、ブレーキを踏むのは強ければ強いほど良いのか? と、いわれると、実はそうでもありません。 メインブレーキで止めようとしているのは“タイヤの回転”です。 自動車で唯一、道路と接しているタイヤです。

この回転を止めるということはどういうことでしょうか。 ひとつは、停車するときです。 これは速度が0になることで、タイヤが回転しなくなるので安全です。 もうひとつは、タイヤがロックするときです。 この走行中なのに、タイヤ回転が止まる状態であるタイヤがロックすることは、非常に危険であり、厄介です。

タイヤがロックするというのは、走行中にタイヤの回転が止まっている状態のことです。 ソリのように、ただ道路の上を滑っている状態です。
ブレーキ力 > タイヤのグリップ力
が成り立つと発生します。

なぜ止まらない?

少し物理の話になりますが、静止摩擦力と動摩擦力が関係してきます。 中学高校の物理で習ったように、“最大静止摩擦力 > 動摩擦力”の関係が成り立ちます。 ここで、タイヤの回転と路面の関係を見ていくと、タイヤが正常に回転しているときは路面に対して“滑っていない状態”なので、ここでは静止摩擦力が発生します。

タイヤがロックしていると、路面に対して“滑っている”状態なので動摩擦力が働きます。 少しややこしいですがこの前提を踏まえて下のグラフを見てください。

静止摩擦力、動摩擦力の関係縦軸:タイヤと路面の摩擦力横軸:ブレーキ制動力
静止摩擦力、動摩擦力の関係
縦軸:タイヤと路面の摩擦力
横軸:ブレーキ制動力

ブレーキの摩擦力と車の制動力の関係は上のグラフのようになり、グラフの頂点が最大静止摩擦力に対して、右側の水平部が動摩擦力であるため、動摩擦力のほうが摩擦力より低い状態になります。 ここで最短距離にて止まりたいときに、最大静止摩擦力を越えてブレーキロックすると制動距離が伸びてしまいます。

なぜ曲がらない? なぜスピンする?

車は特性的に、前輪の向いている方向に曲がっていきます。 しかし、これはタイヤの回転方向に曲がっていくということです。 ロック状態では当然この特性は当てはまりません。

前輪がロックした場合は、前述したようにただのソリのようにまっすぐ走るだけになりますので、どれだけハンドルを切っても直進して曲がらない状態になります。 また、後輪だけがロックした場合は、後輪のグリップが急に低下するので後ろが不安定になる、つまりスピンしやすい状態であるということです。

そこでハンドルを切るとバランスを崩し、一気にスピンします。 もしくは路面状況や車の状態によっては、ハンドルをまっすぐのままでもスピンすることがあります。

◆ブレーキロックを防ぐABS

このように恐ろしいこと満載のブレーキロックですが、それを回避する方法はあるのかというと、実は普通の自動車にはロックを回避する機構が標準装備されています。 これはABS(アンチロック・ブレーキング・システム)といい、車がロックしたと判断すると勝手にブレーキを弱めてロックを解除し、また最大の制動力を目指してブレーキを強くする・・・ということを断続的に行うシステムです。

強いブレーキをかけると、ブレーキペダルがゴリゴリした感触がするのはABSが働いている証拠です。

BMWミニのABSアクチュエーター
BMWミニのABSアクチュエーター

ちなみに、あまりに年式が古い車の場合、ABSは標準装備ではありません。 筆者自身のカプチーノ(25年落ち)にはついておりません。 では、どうすればいいか?というと、自分の足でブレーキを弱めてロックを解除するのです。 ブレーキ踏力を、強める弱めるという動作を自分で行うのです。 頑張って練習しましょう。 通称“人間ABS”です。

さて、ブレーキの基本的な話をしてきましたが、今までブレーキについて考えたことがなかったという方が多いかと思います。 車の安全性を語る上でブレーキは外せない事項です。 ぶつかる前に止まることができれば事故は起きないですからね。

そういった意味でも 「ブレーキは自動車の陰の功労者」 といっても、過言ではないのではないでしょうか。
(執筆:広島大学体育会自動車部)

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