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~自動車レースに使われる材料~

こんにちは。
横浜国立大学フォーミュラプロジェクト(YNFP)です。

今回は、自動車の製作には欠かせない“材料”についてお話しします。

学生フォーミュラでは、大学生自らが1台のマシンの設計・製作を行います。
このマシンには、当然様々な金属材料が使われます。
設計の際には、各部品の役割や加工方法に合わせ、コストも考慮しながら、それぞれの部品に適した材料を選定していきます。

きちんと材料選定を行うことで、部品の軽量化や性能向上につながります。
車両のポテンシャルが向上して、動的審査で好成績を残せるだけでなく、材料選定における思考プロセスがデザイン審査(*1)にて評価されることで、得点向上を目指せます。

*1 学生フォーミュラでは、マシンの“速さ”を競う動的審査だけではなく、静的審査というものも行われます。
静的審査の一つであるデザイン審査では、自分たちのマシンをどのように考えて設計してきたかを発表し、車両に対する理解度や、設計目標に対するアプローチの仕方などが評価されます。

〇金属材料

金属と言えば鉄、アルミニウム、チタンなどが思いつくかと思います。
実は、機械材料として使われる金属は、ひとくちに鉄と言っても製造方法によって純鉄、鋼、鋳鉄のように呼び分けられています。

そこからさらに、表面処理や熱処理の有無、用途に合わせてJIS規格(*2)でより細かく分類されています。
今回は、弊チームで使われているものを中心に、いくつか紹介していきます。

*2 日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standardsの略)
日本の国家規格であり、産業製品に関する規格や測定法などが定められています。
自動車や、電化製品などの産業製品生産に関するものだけではなく、文字コードやプログラムコードといった情報処理、サービスに関する規格なども存在しています。

・STKM11A

機械構造用炭素鋼鋼管としては最も、炭素含有量が少ない0.12 %以下であり、溶接に向いている部材と言えます。
機械的性質としては、引張強度が低い一方で、伸びが良く曲げ加工もしやすい部類となっています。

これらの性質から、弊チームではフレームやサスペンションアームに、使われている鋼管です。

「STKM」は、機械構造用炭素鋼管を指す記号です。
機械構造用炭素鋼管の中でさらに成分、機械的性質で11種から20種までの区分が規定されています。
その分類の後に、製管方法によって継ぎ目なし(シームレス)鋼管を示すS、電縫鋼管(電気抵抗溶接管)を示すE、鍛接を示すBの記号などがつけられます。
最後に仕上げ方法として、熱間仕上げを示すH、冷間仕上げを示すC、電気抵抗溶接したままの状態を示すBなどが付け足されます。

また、鋼管の寸法は「25.4×1.2×650」のように、外径×肉厚×長さの順に表記される慣わしとなっています。

フレーム
フレーム

・S45C

機械構造用の炭素鋼鋼材としては、最もポピュラーなものです。
なお、SはSteel、45は炭素含有量、Cは炭素のCarbonを意味しています。
熱処理を行うことによって得られる機械的性質を向上させることで、さらに用途も広がります。

一般的には、焼き入れ、焼き戻し、焼きならしなどを行ったうえで使われます。
価格も高すぎることがなく、市場にも多く流通している炭素鋼のため、汎用性が大変高いです。

弊チームでは、特別な性質が必要とされない場合は、S45Cを用いるため、ベアリングケースやスリーブ、スペーサーなどほとんどの円筒部品に使われています。

アームスリーブとアームパイプ
アームスリーブとアームパイプ

・SS400

一般構造用鉄鋼材であるSS材の中で、最も使われる材料で、鉄鋼の代表的な規格材料とも言われています。
安価であり、市場にも多く流通していて、構造用だけでなく多くの分野で使用されています。なお、SSはSteel Structureの頭文字で、構造用の鋼であることを意味しています。

400は、この材料で保証される最低の引っ張り強さを、MPa(N/mm2)で表記したものです。既に紹介した材料とは違い、SS400は成分を保証したものではなく、強度(最低の引張強さ)を保証したものであるため、炭素含有量についての規定はなく、強度劣化の要因となる有害成分と位置づけであるP(リン)とS(硫黄)のみ上限値が規定されています。

ただ、規定がないものの、炭素含有量はおおむね0.15〜0.2 %前後のものが多く、低炭素鋼(軟鋼)といえます。
硬度が高くない一方で、加工性に優れている材料です。

このように、炭素含有量についての規定がなく、成分についてもかなり緩い規格になっていることから、硬度や耐摩耗性が要求されるような摺動部位に対する使用には適していません。

弊チームでは、各部品をフレームと締結するためのステーや、ベルクランクの板部分、フレーム製作の際に用いる治具板など、ほとんどすべての板材に使用しています。

フレーム製作用治具板
フレーム製作用治具板

・A5052、A5056

Aは、アルミニウムを意味しており、5000番台の番号がついているアルミニウムは、マグネシウムを主要添加物質としたアルミニウム合金です。
種々の、アルミ二ウム合金の中では、ちょうど中間程度の強度を示す代表的な材料になります。
耐食性、成形性が良く、溶接にも向いている材料で、アルミの中では最も使用頻度の高い合金とも言われています。

弊チームでは、燃料タンクの板を始めとした板材にはA5052、サイレンサーのフランジのような円筒部品にはA5056を多く使用しています。

燃料タンク
燃料タンク

・A2017、A2024

2000番台の番号が付いているアルミ二ウムは、Cu(銅)やMg(マグネシウム)を含んだ高強度型の熱処理アルミニウム合金です。
A2017は、ジュラルミンの名称でも良く知られています。
さらに強度が高いA2024は、超ジュラルミンとも呼ばれ、切削加工性にも優れたアルミ二ウム合金です。

Cu(銅)を含むアルミニウム合金は、大変強度が高い一方で、塑性加工性は低い傾向にあります。
環境次第で強度面は、鉄鋼材料に匹敵するほどのこともありますが、溶融・溶接性や耐食性は、他のアルミニウム合金よりもやや劣る傾向にあります。

弊チームでは、強度が重要となるサスペンション部品の、アップライトやハブに使用しています。

・A6063

6000番台の番号が付いているアルミニウムは、Mg(マグネシウム)とSi(シリコン)を添加したタイプのアルミ二ウム合金です。
強度、耐食性ともに優れているため、構造材料としても使われているアルミ二ウム合金です。

ただし、溶接には弱く、通常ならアルミ二ウムの長所でもある熱伝導率の高さのために、溶接個所だけでなく、周辺部位までも熱による強度低下が起きてしまいます。
このため、ボルトやナット、ビス、リベットなどの機械的な接合が用いられることが多いとされる材料です。

弊チームでは、燃料タンクのフィラーネックをはじめとして、アルミニウムパイプを用いたい箇所に多く使われています。

〇非金属材料、複合材料

主に軽量化を目的として、樹脂のような非金属材料も車両部品には使われています。
3Dプリンターによる樹脂射出成型を行えば、形状がかなり自由になることも大きなメリットの一つです。
また、ガラス繊維や炭素繊維で強化した複合材料は、成形のしやすさからエアロデバイスやボディに用いています。

・ABS樹脂

大きな欠点のないプラスチックであることから用途は幅広く、ABS樹脂は汎用樹脂の中では最もポピュラーな材質であると言われています。Aはアクリロニトリル、Bはブタジエン、Sはスチレンとそれぞれの頭文字です。

弊チームではファンネル、サージタンク、リストリクターなどに使用しています。

・ポリカーボネートパイプ

耐衝撃性、耐熱・耐低温性が良いこと、成型品の精度が環境の変化に関わらず安定していること、透明度が高いことなどがこの材料の特徴として挙げられます。
この材料でつくられた製品は、落下した衝撃で簡単に壊れてしまうことはなく、ハンマーで叩いた際にも割れることなく、金属材料のように伸びるような性質を持っています。

衝撃に対する強さを数値で比較してみると、ABS樹脂の約5倍、塩化ビニール樹脂の約10倍、ポリスチレンやアクリル樹脂の50倍に匹敵し、プラスチック材料の中でも圧倒的に耐衝撃性が高い材料です。

弊チームでは、冷却配管の一部に使用しており、冷却水に混入したエアの視認性を確保することで整備性の向上を狙っています。

・ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)

GFRPはGlass Fiber Reinforced Plasticsの略です。
これは、強化材となるガラス繊維を、ポリエステル樹脂や、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などで固めたもので、FRPの中では最も安価かつ最も一般的なものになります。
軽量であり、成形・穴あけ等の加工性にも優れている材料になります。

弊チームでは、エアロデバイスやボディの製品を積層するための型の製作に使用しています。

・炭素繊維強化プラスチック(CFRP)

CFRPは、Carbon Fiber Reinforced Plasticsの略です。
これは、強化材には炭素繊維を用いて主にエポキシ樹脂で固めたもので、高い強度と軽さを併せ持った材料になります。
ただし、GFRPと比較して高価です。

製造方法の違いから、ドライカーボンとウェットカーボンの2種類に大きく分けられます。
ドライカーボンはまず、プリプレグを型に貼り込んでいき、それを真空バッグで加熱します。
そして、気圧差を利用することで、エポキシを吸い出しながら圧着し硬化させます。

ハニカム材との圧着のため、1気圧以上の加圧が必要とされる場合は、オートクレーブという内部を高圧力にすることが可能な、耐圧性の装置が用いられます。
一方で、ウェットカーボンは、GFRPと同じようにハンドレイアップなどの工法で作ることができます。

弊チームでは、エアロデバイスやボディ、サイレンサー、プッシュロッド、ホイールに使用することで軽量化を行っています。

カウル
カウル

〇終わりに

今回ご紹介したものは、材料のほんの一部にすぎません。
弊チームでは、使用していないチタンやマグネシウム、銅、セラミックなど、使用用途やコストに合わせて、世の中ではたくさんの材料が使われています。

また、より優れた性質を持つ材料を求めて、日々研究開発も行われています。
自分の身近にある製品が、一体どんな材料で作られているのか、設計者はどのような意図でその材料を選んだのか、色々と思いを巡らせてみるのも楽しいかもしれませんね。

以上、ここまでお読みくださり誠にありがとうございました。

筆者:横浜国立大学フォーミュラプロジェクト

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