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PCDチェンジャーの危険性

こんにちは!広島大学体育会自動車部の一年生の谷原です。皆さんは、軽いホイールを履かせたい、かっこいいホイールを履かせたい、と思ったことありますよね?しかし、ネットなどでホイールを見ても、「インチ数」は分かるけど、そのほかの「オフセット」とか「リム幅」とか「PCD」とか「穴数」などなど、気を付けなければならない項目がたくさんあります。

そこで今回は「PCD」について、私の経験を書きます。車をよく知らなかった私が、不適切なホイールを購入し、某国製PCDチェンジャーを利用した結果、大変なことになった経緯をお伝えします。これから新しいホイールを履かせたい、と思っている人は、こんな危険性もあるのだなと参考にしてください。

「ホイールの軽量化」に興味を持った経緯

納車したばかりの純正CR−Z
<納車したばかりの純正CR−Z>

私がはじめて購入した車は、ホンダのCR-Zという車です。この車は、ハイブリッドカーでありながら、MTを設定している、世界でも唯一の存在です。2010年に発売され、2017年で販売終了しました。とてもシルエットが綺麗で、写真で見るよりも、実物で見たほうが、立体的なカッコよさがあって好きです。

しかし、私の所属する自動車部の中では、このコンセプトの中途半端さと非力さから、あまり人気のない車種として、認知されていました。ですがこの車は、燃料がレギュラーガソリンで、燃費もリッター20kmに達するので、大学生でお金のない私にとっては、とても良い選択肢だったと思います。

CR-Zに乗り始めたころは、モーターのアシストで、トルクもあって力強いと感じていました。しかしサーキットや高速の合流など、エンジンを高回転まで回す加速では、モーターのアシストでは、加速が物足りないなと感じるようになりました。そこでカタログスペックを見てみると、私の所有している前期型は114馬力で、ホンダのフィットよりもパワーがないのです。

ですが私は、この限られたパワーの中で、CR-Zを速くしようと決めていました。そこで最も効果のありそうな、「ホイールの軽量化」を行うことにしました。ホイールの軽量化は、車体のバネ上の軽量化に対し、約10倍の運動性能の向上が見込める、と言われています。難易度も低く、初心者の私には、とても手が出しやすいものでした。

ホイール交換における「PCD」の重要性について

ホイール交換を決意したので、ホイールを探すことにしました。CR-Zの純正ホイールサイズは「16インチ」です。パワーがないのに16インチは不要だと考え、ホイールとタイヤの両方の軽量化も行うため、15インチにインチダウンすることにしました。特に「TE37」というホイールを狙っていました。剛性と軽量のバランスが取れている、良いホイールだからです。

「リム幅」と「オフセット」について当時はよく分からなかったので、純正ホイールと同じ値の物を探しました。しかし、値段が高い。ヤフオクで探しても、4本で10万円近くします。とても払える金額ではありません。しかしある日、ヤフオクを見ていると即決4万円でTE37が出品されていました。これを見た私は、思わず即決してしまいました。ところが私は、重要な点を見逃していたのです。そう、「PCD」の存在です…!

PCDとは?

「PCD」というのは、自動車のホイールを車軸に固定する「ハブボルト」の中心が通る円の直径のことを指します。通常、ホイールナットの数は4穴〜5穴。直径は100~140mm程度です。

私のCR-ZのPCDは114.3の5穴です。しかし購入したTE37のPCDは100の5穴でした。その時の私は、穴の数だけあっていればよいものだ、と思い込んでいました。完全な知識不足でした。しかもこのPCD100で5穴、というサイズはとても車種が限られていて、需要のあまりないホイールだ、ということが分かりました。

このサイズを履くことができるのは、トヨタのセリカや、スバルのフォレスターやレガシーB4やインプレッサだけでした。さらに15インチともなると、なかなか履かせる人はいません。4万円という破格の値段も納得です。ですが私は、せっかく買ったTE37を手放したくないと思い、何とかして取り付けようと決めました。そこで候補に挙がったのが「PCDチェンジャー」の使用する事でした。

PCDチェンジャーを使用するリスク

「PCDチェンジャー」とはワイドトレッドスペーサーに似た部品です。ワイドトレッドスペーサーは、ホイールを外側に出すためだけに使用されますが、PCDチェンジャーは、ワイドトレッドスペーサーの機能に、PCDを変換する機構がついたものだ、と思っていただければ大丈夫です。ワイドトレッドスペーサーと同様に、PCDチェンジャーのハブボルトには、通常のハブボルトよりも、強い負荷がかかります。強度が確保された製品でないと、ハブボルトが折れるなど、大事故につながる危険性があります。

ですが日本製はどれもワンオフで、数万円もして高価です。私にはそのようなお金はないし、ましてや安くホイールを買ったのに、PCDチェンジャーにお金を使ってしまっては、元も子もありません。そこで私は、ちょっとくらいならいいだろうという、お試し的な気持ちで、某国製のPCDチェンジャーを購入しました。価格は4個で5000円。リーズナブルなので迷わず買ってしまいました。

取り付けが完了し、いざ走り出してみると、特に異変はなく、ホイールも軽くなったおかげで、とても加速が鋭くなり、非力さをカバーできて、足の動きもきびきびになって、良いことばかりでした。しかしホイールを変えて1か月後、サーキットに行ったときそれは起こりました。1分程度のジムカーナ走行をするだけで、4輪すべてのホイールナットが、かなり緩んでいたのです。

その時は、限界走行ではこのくらい緩むのかな、と思っていたのですが、周りの車を見ても、たった1分でこんなに緩む車はいません。そこで私は、締め付けトルクが105N/mでは弱いのかな、と思い110N/mで締めました。しかしそれでも変わらず緩みました。結局その日は、1回の走行が終えるごとに、念入りに増し締めをして、1日中走りましたが、あまりにおかしいので、後日の整備で、確認してみることにしました。

外国製のPCDチェンジャー使用後
<外国製のPCDチェンジャー使用後>

ホイールナットを取り外し、ホイールを外そうとした時、ホイールが外れなかったのです。写真を見てもらうと、微妙に外側に、PCDチェンジャーのハブボルトが、反り返っていることが、分かると思います。なぜ反り返ったかは不明ですが、スポーツ走行をしたことと、5000km程度走行したこともあり、ハブボルトに想定外の負荷がかかったために、変形したのだと思います。

結局ホイールを外し、PCDチェンジャーを取り除かなければ危険なので、力ずくで取り外しました。4個のPCDチェンジャーすべてのハブボルトが、同様に反り返っていたので、すべて廃棄になりました。安物買いの銭失いとはまさにこのことなのだなと、実感しました。せめてちゃんとした、日本メーカーのPCDチェンジャーを買っておくべきだったと、後悔しています。

TE37も使えなくなり、新しいホイールを探していたところ、9900円でeco formeをみつけました。eco formeは、ブリヂストンが出しているホイールで、デザインもカッコよくて鍛造のアルミホイールなので、とても軽量です。

私はeco formeの中でも、SE-12というモデルを買いました。SE-12は、スノーシーズンの使用を前提としたモデルです。降雪地の道路では、融雪剤がまかれることがあり、この融雪剤がホイールを腐食して、寿命を縮め、性能を低下させます。しかしSE-12は、1000時間にもおよぶ塩水噴霧試験をクリアする、塩害への対策を施してあるので、安心して除雪剤のまかれた雪道でも、走ることができます。SE-12の“SE”は、“Snow Edition”の意味です。オールシーズン使える、スタイリッシュなホイールですが、雪道に強いことが、大きな特長なのです。

スポーツ用のホイールもいいですが、値段が高いので、手が出せませんでした。安くて軽くて万能の、鍛造のアルミホイールが欲しければ、おすすめかもしれません。僕の場合は、ホイールキャップにeco formeの文字が書いてあるのが、好きではなかったので、ホイールキャップを外しています。個人的にですが、ホイールキャップを外すことで、エコで貧弱な感じから、一気に無骨でやる気にさせてくれるホイールに、変身します。

ホイールキャップ付きeco forme
<ホイールキャップ付きeco forme>

ホイールキャップのないeco formeを履かせたCR-Z
<ホイールキャップのないeco formeを履かせたCR-Z>

新しいホイールも購入し、ホイールを組み替える準備ができたので、TE37とPCDチェンジャーを外してみたところ、なぜかホイールナットが回らない。1回緩んだはずなのに、それ以降もずっと固く、回りづらかったのです。ナットを外してみると、ハブボルトにあるはずの山が、ホイールナットで削れて平らになり、無くなっていました。さすがに、鉄でできたボルトがここまで削られていたのには、とても驚きました。ホイールが外れるなどの、大惨事にならなくてよかったと、安心しています。

その時つけていたホイールナットを見てみると、塗装が剥げて、山もガタガタで、使い物にならなくなっていました。このホイールナットはアルミ製で、熱に弱く、強い熱が入ると、変形してしまうことがあるのです。その影響もあり、ハブボルトの寿命を縮めてしまったのだと思います。ホイールナットに関しては、デザイン性よりも、素材を重視して、ジュラルミンや鉄・クロモリやチタンなど、強度のあるものを使用することを、強くおすすめします。

山の無かったハブボルトにつけていたアルミホイールナット(左)右と比べて、中の塗装が剥げて損傷しているのが分かる。
<山の無かったハブボルトにつけていたアルミホイールナット(左)右と比べて、中の塗装が剥げて損傷しているのが分かる。>

山のないハブボルト
<山のないハブボルト>

ハブボルトの交換方法

ホイール交換にあたり、右後ろの3本のハブボルトの山がダメになっていたので、交換することにしました。今回使用したハブボルトは、HKBスポーツという会社のハブボルトで、日本製なので、とても安心でした。価格も8本で1000円程度だったので、とてもお手頃でした。やはり日本製と聞くだけで、安心感があります。

ハブボルトも準備できたところで、ブレーキとローターを外し、今回外すハブボルトをハンマーでたたいて外します。意外と簡単に外れたので、びっくりしました。それから、新しいハブボルトを差し込んで取り付けます。あとは、逆の手順を踏んでやればできました。ディーラーなどに作業を依頼すると、2万円くらいかかるので、お金のない私は、自分で交換しました。ですが、ハブボルトを差し込む部分の溝をつぶしてしまったり、ハブボルトがまっすぐ刺さらない恐れがあるので、自信がなければ、頼んでやってもらいましょう。

購入したHKBスポーツのハブボルト
<購入したHKBスポーツのハブボルト>

まとめ

ハブボルトの交換を終えて、1か月が経ちますが、何事もなくしっかりと走ってくれます。ミニサーキットでジムカーナをして、結構な負荷のかかることをしましたが、ハブボルトに異変はありません。PCDチェンジャーを付けているときは、足に爆弾を付けて走っているような、緊張感がありましたが、PCDチェンジャーを取り外して、ちゃんとしたホイールを装着することで、安心感があるので、思い切ってサーキットを攻めることができました。

今回は、ハブボルトがダメになっただけで済みましたが、一歩間違えれば大惨事につながるところでした。自分の車だけが、廃車になる分にはまだいいのですが、周りの人を巻き込む事故を招くことだってあるかもしれません。少しの節約のために、間違った選択をするよりも、少し高いお金を出してでも、ちゃんとしたものを買うことが、いかに大切かを学ぶきっかけになりました。これからは、ちゃんとしたホイール選びと、正しい知識をもとに、車と付き合っていきます。

皆さんも、私みたいにならないように、正しい知識をもとに、車をいじってみてください。そうすれば、ご自身の車の異変にも、気づくことができるし、対処もできます。私は今回の経験を経て、車の仕組みを知ることの大切さや、整備力が身につきました。なんでも自分でやってみると楽しいし、車に愛着がわくものです。これからもCR-Zと、永く付き合っていこうと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

執筆:広島大学体育会自動車部

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